暁投資顧問

おかげさまで10周年

財政出動

先日、「財政出動の補正予算規模は20兆円」と報じられ株価上昇要因となりました。
足元では財政出動を意識して公共工事やリニア関連銘柄、電線地中化やカジノ関連株などが上昇しています。

景気が少し悪くなってくると、財政出動期待が出てきます。
財政出動は既に92年~2000年代初頭にかけて何度もやってきていますしその答えは出ています。

日本の財政問題
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E8%B2%A1%E6%94%BF%E5%95%8F%E9%A1%8C#.E6.99.AF.E6.B0.97.E5.AF.BE.E7.AD.96.E3.81.AE.E3.81.9F.E3.82.81.E3.81.AE.E8.B2.A1.E6.94.BF.E5.87.BA.E5.8B.95

上のWikipediaに経緯が書いてあります。

抜粋すると

「宮沢内閣下での1992年の景気対策「総合経済対策」を皮切りに、毎年10兆円を上回る大規模な景気対策を講じ、公共投資などの支出を増やした。
こうした流れは2000年代初めの森内閣まで続いた。事業規模は総額で100兆円を超え、財政支出を伴った真水の部分だけで50兆円を超えた。
度重なる国債発行の結果、日本政府の純負債は500兆円増えた。
しかし、マンデルフレミング効果が働いたことや、巨額の政府支出が将来の増税を予想させたことによる消費の低迷、
企業のバランスシート改善を目的とした設備投資の抑制が強かったこともあり、それらに相殺され大きな効果は得られなかった。
一方、この積極的な財政支出によって国・地方とも財政は危機的状況に陥っている。」

言いたいことが全て要約されているので、抜粋させて頂きました。これが答えだと思います。
財政出動した直後一時的に景気は上向きますが、財政出動を延々と続けるわけにはいきません。
財政出動を打ちきると上向いた景気は低下しますので元の木阿弥。結果、財政赤字だけが膨らんでいくという訳ですね。

財政出動の効果が限定的だと分かり、八方塞がりの状況で登場したのが金融緩和でした。
リーマンショックから立ち直った米国の姿を見て、日本も金融緩和に踏み切りました。
しかし、米国と日本は人口動態や、社会制度、国民の金融資産に占める不動産や株式の割合等、構造が違います。
日本において金融緩和で資産価格を上昇させてもその効果は限定的でインフレ率は一向に上がりませんでした。
景気も頭打ちから徐々に悪化しはじめました。
で、また財政出動に戻って来た・・・そんな感じですね。
財政出動好感で一時的に景気は上向くかも知れませんが、財政出動に大きなトレンドを変える力はありません。

また、財政出動20兆円と報じられていますが、キモになる真水の部分は控えめに抑えられるような気がします。
その根拠は今年3月の国際金融経済分析会合でのポール・クルーグマンと安倍首相との会話の内容です。
安倍首相はクルーグマンに対し「ドイツは財政出動の余地が最も大きい」として、「訪独の際に財政出動を説得したいがいい知恵はないか?」と訪ねたそうです。
日本に財政出動の余地があれば、こんな間抜けな質問はしないでしょう。
消費増税を見送ったうえ、財政出動をバンバン打てるほどの余裕は日本にはないはずです。
まぁ、財政出動の効果はあくまでも短期的と見て、慎重に立ち回りたいと思います。

 

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